むしろ、どこか悔しそうな雰囲気さえチームメイトたちから感じられた。
けど、誰よりも悔しいのはきっと……難波君、だろうな。
握手のため、選手たちが整列する中、難波君だけが拳を握りしめたまま、コートのど真ん中に立ち尽くしていた。
その表情を一言で説明するなら、『絶望』と言うのがぴったりかもしれない。
当たり前だ。
彼は、ほんとうに有能な選手。
それなのにーーバスケに青春の欠片も捧げていないだろう彼に、全くもって歯が立たなかったのだから。
天才というのは恐ろしいと、この時初めて僕はそう思った。
【side椎崎】-END-