彼は、一点を見据えて、ボールを高く上げた。
……は?
綺麗な円ではないが、一直線にゴールへと向かうボール。
誘われるように、すっぽりと、ゴールを潜った。
ーーー入っ、た……。
ほんとうに、あんな、ところから……。
コートに立つ誰もが、審判さえも驚愕していた。
ーーーーー
ーーー
「おいおい……なんだよあのバケモン……」
早乙女校の選手が、諦めを含んだ声を零した。
それとほぼ同時に、試合の終結を知らせる笛が鳴る。
僕は、スコア表を見て目を疑った。
112対20
早乙女相手にここまでの大差をつけるなんて、誰が想像できただろうか。
勝因は、間違いなく京極さん。