うちのチームも、弱い訳じゃないからね。

エースの天堂君が9点を決めてくれたから、そこまでの差は開いていない。

けど……このままじゃ、点差を埋めることは出来そうにない。


ぐびっと水を飲んで、気持ちを落ち着かせるため深呼吸をした。



「あの、少しいいですか」

「どうしたの?京極さん」

「ボール、全部僕にください」



……へ?


いったい、突然何を言い出すんだろう。

この場にいた全員が、そう思ったに違いない。

皆、ぽかんとした顔で京極さんを見ていた。



「えっと、もちろん、ボールは回すけど……全部って?」

「僕、ハーフラインまでシュートレンジあるので、スリー集中で投げます」



にっこりと、笑顔でそういった京極さん。

その発言は、僕らをさらに驚かせるには充分過ぎるものだった。