【完】君は狂った王子様。Ⅱ




負けたくない、負けられない。


僕が、このチームを引っ張っていくんだ。

本当は、力試しに正規レギュラーだけでスタメンを組みたかったけど……相手が相手だ、そうも言ってられない。

スタメンに京極さんを入れたことで、不満に思った部員もいるかもしれない。

けど、僕は何よりも、勝ちを優先した。



ジャンパーは、天堂君。



審判が、ボールを手に取った。

このボール……取った方が、先取する。

直感的にそう思って、僕は全神経を尖らせた。

……いや、僕だけじゃない。


ここにいる、"彼"以外の誰もが。


審判がボールを上げ、ジャンパーが跳ねた。

先にボールを取ったのは……


ーー早乙女校、難波君だった。