うーん……ま、いっか。
気にせずに、ベンチまでの道を歩いた。
京極さんは、何故かひとり駆け足でベンチへと向かって行く。
……あ。
どうしたのかと思えば……彼女さん、か。
彼は、真っ先に彼女の元へ駆け寄り二人で話している姿が目に入る。
そこはまるで、二人だけの世界。
お似合い、としか言いようのない美男美女。
さっき、この子のこと言われて相当怒っていたみたいだし……大好きなんだろうなぁ。
僕も、応援しに来てくれるような彼女が欲しいっ……!
非モテの叫びは心の中へと留め、ジャージを脱ぐ。
それぞれ試合前のストレッチを済ませた頃、収集が掛かった。
……よし。
「行こうか」
三年生が引退して……初めての練習試合。

