【完】君は狂った王子様。Ⅱ




ふと、難波君が気になって振り返ると、難波君は立ち尽くしたまま、拳を力強く握りしめていた。


……よくわからないけれど、因縁でもあるのだろうか……

僕が首をつっこむ必要なんてないとわかっているけれど……今回の試合、いったいどうなるんだろう。


京極さん、勝つ気満々って感じだけど……早乙女は、本当に強豪だ。


しかも、難波君はスカウト常連の選手。

彼に火を付けてしまった今、僕らに勝ち目はない気さえした。

それほどに、僕は難波君の実力を知っている。


あーあ……黒星は避けたかったなぁ……

それにしても、京極さんにあんな一面があっただなんて……。


……ああ、これから普通に話しかけられなくなりそ……僕、ほんとヘタレだなぁ……。

でも、さっきのは本当にーー別人のようだった。