ふと、難波君が気になって振り返ると、難波君は立ち尽くしたまま、拳を力強く握りしめていた。
……よくわからないけれど、因縁でもあるのだろうか……
僕が首をつっこむ必要なんてないとわかっているけれど……今回の試合、いったいどうなるんだろう。
京極さん、勝つ気満々って感じだけど……早乙女は、本当に強豪だ。
しかも、難波君はスカウト常連の選手。
彼に火を付けてしまった今、僕らに勝ち目はない気さえした。
それほどに、僕は難波君の実力を知っている。
あーあ……黒星は避けたかったなぁ……
それにしても、京極さんにあんな一面があっただなんて……。
……ああ、これから普通に話しかけられなくなりそ……僕、ほんとヘタレだなぁ……。
でも、さっきのは本当にーー別人のようだった。

