【完】君は狂った王子様。Ⅱ




案の定、難波君の睨みは鋭精を増した。


あああっ……今すぐこの場から逃げ出したい……。

僕、部外者なのにっ……!


明らかに、僕の好きな平穏とは程遠い状況。



「や、やめようよ難波君っ……!何があったか知らないけど、暴力はダメだよ……!」

「……チッ」



流石に仲裁に入った僕に、難波君は納得いかない様子で京極さんから手を離した。



「今日、お前のこと絶対負かしたるわ……!そのプライド、ズッタズタにしたる……!」

「うん。楽しみにしてる」

「くそっ……。……そや、そない自信あるなら賭けようや」



何か閃いたように、突然声色を変えた難波君。



「俺が勝ったら、桜子くれへん?」



ーーいったい、どう表現すればいいのだろう。

難波君の、その一言。

それが、この場の空気を一変させた。