【完】君は狂った王子様。Ⅱ




け、喧嘩は、やめようっ……!


しかし、そんなことを言える空気では無いので、黙って傍観に回る。



「お前のその……負けるわけ無いやろって態度、好かんねんッ……!」



…ちょっ、だ、ダメダメダメ!!!

怒りが沸点に達したらしい難波君が、京極さんに掴みかかった。

止めに入ろうとしたけれど、京極さんが腕をすっと出し、僕の加入を止める。

小声で僕に、「大丈夫です」と言った京極さんの顔には、やはり笑顔が浮かんでいた。

顔色一つ変えずに、京極さんは口を開く。

てっきり、難波君を落ち着かせることでも、言うんだと思った。

けれど、京極さんから出た言葉は、火に油を注ぐようなもの。



「僕の態度が気に入らないって言われても、ねぇ。生まれてきてから一度も『敗北』って味わったこと無いから、どんなものか想像もつかないんだ」



そ、その発言は、難波君を煽るだけなんじゃないかなっ……。