【完】君は狂った王子様。Ⅱ




多才で卒なくなんでも熟す彼、欠点なんてないんじゃないかと思うほど完璧なのに、それを鼻に掛けることも一切ない。

不穏な噂を聞いたこともあるけれど……あんなの、きっとデタラメだ。


忙しいだろうに、こうして練習試合にも来てくれるし……良い人だなぁ。


僕も、頑張ろう!

気合を入れて、更衣室を出る。


……あれ?

更衣室を出てすぐのところ、壁にもたれ掛かっている男の人の姿があった。

見覚えのある姿に、驚いて口を開く。



「難波君!」



今日の対戦相手、早乙女学園の選手であり、一瞬だけ我が校のバスケ部に加入していた彼。

家庭の事情で、すぐに転校してしまったけれど……。



「どうしたの難波君?」

「椎崎キャプテン、お久しぶりっす」