【完】君は狂った王子様。Ⅱ



【side 椎崎】



僕がキャプテンをしている理由は、一番目立たないから、だ。

……ああ、それと、暇だからっていうのもある。


なんにせよ、キャプテンになったからには、京学バスケ部を引っ張っていきたいと思っている。


今日、京極さんが助っ人に来てくれてよかったぁ……インハイ前のこの時期に、練習試合とはいえ黒星を付けるのは避けたかった。

京極さんが来てくれたら、いくら早乙女相手とはいえ負ける可能性はほぼ無に近いだろう。

ーー試合が始まるまでは、そう思っていた。



「京極さん、今日は本当に来てくれてありがとう!」



試合前の更衣室。

いつも物腰柔らかい彼にそう伝えると、いつものように柔かな笑みを返してくれた。



「いえ。力になれるかわかりませんが」

「そんな謙遜は止してよ〜!期待してます!」



本当に、彼は紳士な人だ。