突然なにを言い出すかと思えば……
「うん。ダメ?」
「ダメ、じゃない……けど……ご褒美って、わたしがあげられるもの?」
「そうだよ。桜じゃないと……叶えられないこと」
「それってなあに?」
「それは……勝った時に言うから、約束してくれる?」
「……うん、わかった」
何かわからないけど、わたしがあげられるものなら……。
「ふふっ、やった。それじゃあ桜のご褒美を糧に……後始末頑張ろうかな」
「後始末?」
「なにもないよ。今日の試合、俺のことだけ見ててね」
笑顔のがっ君に、「うん!」と返事をしたわたしだったけど、がっ君が一瞬、意味深に口角の端を上げたように見えたのが気になっていた。
ーーーーー
ーーー
「それじゃあ、桜はここにいてね。絶対にひとりで彷徨いてはいけないよ?」

