【完】君は狂った王子様。Ⅱ




突然なにを言い出すかと思えば……


「うん。ダメ?」

「ダメ、じゃない……けど……ご褒美って、わたしがあげられるもの?」

「そうだよ。桜じゃないと……叶えられないこと」

「それってなあに?」

「それは……勝った時に言うから、約束してくれる?」

「……うん、わかった」



何かわからないけど、わたしがあげられるものなら……。



「ふふっ、やった。それじゃあ桜のご褒美を糧に……後始末頑張ろうかな」

「後始末?」

「なにもないよ。今日の試合、俺のことだけ見ててね」



笑顔のがっ君に、「うん!」と返事をしたわたしだったけど、がっ君が一瞬、意味深に口角の端を上げたように見えたのが気になっていた。




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「それじゃあ、桜はここにいてね。絶対にひとりで彷徨いてはいけないよ?」