「で、でもね……味見してもらう人いなくて、自分で食べてみたんだけど……わたしコーヒー苦手だから、美味しいか良くわからなくて……」
「味なんてどうでもいいよ。桜が作ってくれたってことが、嬉しい。ありがとう」
がっ君……。
ただケーキを作っただけなのに、それだけでこんなにも喜んでくれるなんて……。
わたしも吊られて嬉しくなって、口元がだらし無く緩んだ。
「頑張ってね、がっ君……!」
「ああ。桜が観てる前で、負けなんてしないよ」
そういえば、がっ君が何かで負けたところって……見たことがない気がする。
テストも測定も試合も、ランクの付くものではいつだって頂点に立っていた。
相手の高校、強いって言ってたけど……がっ君なら、きっと大丈夫だよね。
「ねぇ桜」
「……?どうしたの?」
「試合に勝ったら、ご褒美くれない?」
「……え?ご褒美?」

