【完】君は狂った王子様。Ⅱ




「で、でもね……味見してもらう人いなくて、自分で食べてみたんだけど……わたしコーヒー苦手だから、美味しいか良くわからなくて……」

「味なんてどうでもいいよ。桜が作ってくれたってことが、嬉しい。ありがとう」



がっ君……。

ただケーキを作っただけなのに、それだけでこんなにも喜んでくれるなんて……。

わたしも吊られて嬉しくなって、口元がだらし無く緩んだ。



「頑張ってね、がっ君……!」

「ああ。桜が観てる前で、負けなんてしないよ」



そういえば、がっ君が何かで負けたところって……見たことがない気がする。

テストも測定も試合も、ランクの付くものではいつだって頂点に立っていた。


相手の高校、強いって言ってたけど……がっ君なら、きっと大丈夫だよね。



「ねぇ桜」

「……?どうしたの?」

「試合に勝ったら、ご褒美くれない?」

「……え?ご褒美?」