あ……こ、これは……。
「あの……」
「……?」
「ケーキ、を……」
その先の言葉が、出ることを拒んだ。
昨日、がっ君のお家のキッチンを借りて、シフォンケーキを作ったのだ。
けれど、がっ君に作ったものをがっ君に味見させる訳にもいかず、かといってがっ君ママは仕事であまり家に帰って来ないので頼むことも出来ず……
悩んだ末、自分で味見をした。
でも……結局、ケーキの美味は確かではない。
「ケーキ?……もしかして、俺に?」
驚いた表情のがっ君に、首を縦に振った。
途端、顔色を明るくさせ、嬉しそうに微笑むがっ君。
「ありがとう……!昨日突然キッチンを借りたいだなんていうから、どうしたのかと思ったら……桜が俺のために作ってくれたなんて、嬉しいよ」

