慌ただしく扉が開いたかと思うと、その奥から、よく知る人物が顔を出した。


…え?



「お、兄ちゃん…?」



わたしを見て、目を輝かせている目の前の人物。



「桜子…ッ!!」



まぎれもなく、海外にいるはずの、お兄ちゃんだった。

まっすぐにわたしの元へ走ってきて、ぎゅっと力強く抱きしめられる。

わたしは何が起こっているのか理解できず、呆然としていた。



「会いたかったッ…!」


「えっ…お、お兄ちゃん!?」



どうして、日本に…!

これでもかと力を込めて抱きしめられ、少し苦しい。

けれど離してくれる気配も無く、圧迫感に目を瞑る。





「………お兄さん、再会が嬉しいのはわかりますけど、桜が苦しがってますよ」