押し倒されたと気付いた時にはもう遅くて、目の前に広がるがっ君の顔は、真剣そのもの。
がっ君……?
真っ直ぐにわたしを見つめる瞳に、同じものを返した。
荒れた唇が、ゆっくりと開かれる。
スローモーションかのようなそれを、目も逸らさずに眺めていた。
「もう待たない。身体ごと、俺のものになって」
それの真意はわからなかったけれど、がっ君の真剣さだけが伝わってきた。
「身体、ごと?」
「そう。桜の初めて、俺にちょうだい」
そ、それって……。
さっき、お兄ちゃんも言ってたっ……。
意味がわかって、顔が熱くなるのがわかる。

