「こーんなにキスしたのに、桜の唇はぷるぷるだね」
がっ君は、随分と上機嫌なトーンでそう言った。
その姿には、先ほどまでの怒っていた様子はない。
「許して、くれた?」
「ん?許す?」
「百回のキスしたら、怒らないって……」
「ああ、そういうことか。さっきも言ったけど、桜には怒ってないよ」
ほ、ほんとに?
安心して顔がだらしなく緩んだわたしの頰に、がっ君の触れるだけのキスが落とされる。
「でーも……まだお仕置きしたりないかな」
そう言って、がっ君はわたしの耳を甘噛みした。
痛くはなかったけれど、耳に走った快感。
……っ、耳、弱いのかなっ……?
「ま、まだ、したりない?」
「うん。ねぇ桜子、俺さ、決めたんだ」
わたしの、視界が反転する。

