胸をドンドンと叩いて抵抗するも、離してくれる様子のないがっ君。
もうほんとに、ダメっ……。
窒息死するんじゃないかと思い始めた時、ようやく解放された。
「がっ君、いつも、キスしすぎだよっ……」
「ごめんね、桜とのキスが気持ち良すぎて、歯止めきかなくなるんだよ」
「そんな言い方……ズルい」
がっ君は、卑怯だ……そうやっていつも、それ以上わたしが文句を言えないような状況にしてしまう。
単純なわたしは、すぐにがっ君の思うツボ。
少しだけ睨みつけるように見ると、逆効果だったようで、がっ君は嬉しそうに笑った。
口角の上がった唇が、赤くなっている。
「いっぱいキスしたから、がっ君の唇……痛そう」
荒れている唇が、痛々しい。
身ひとつで出てきたから、リップも持っていなかった。

