【完】君は狂った王子様。Ⅱ




うっ……なんだか、騙された感……。

でも……で、できる……!



「目、目つぶって…?」



流石に見られたままじゃ恥ずかしいのでそう言えば、がっ君は素直に閉じてくれた。

目の前にある綺麗な顔に、躊躇してしまう。

は、恥ずかしい……っ。



「桜子、まだ?」

「い、いまするっ…」



痺れを切らしたがっ君に、わたしは意を決して唇を開いた。



「がっ君、……すきっ」



ゆっくりと、がっ君の綺麗な唇に、自分のそれを重ねる。

リップ音もならないような、重なるだけのそれ。



「………好き…んっ、好き…っ」



段々と羞恥心も和らぎ……なんてことはなく、むしろ重なる度に顔の熱は温度を高めていった。

もう、無理……。



「ちょっとだけ、休憩……」

「ほら、まだ十回目だよ」