【完】君は狂った王子様。Ⅱ



喉の奥から振り絞ったような、切なすぎる声色で囁かれて、心臓がぎゅっと痛んだ。



「ご、ごめんなさいっ……」

「……許してほしい?」


何度も頷くわたしに……



「じゃあ、桜子から俺に、百回キスして」



がっ君は、小さな声で切望するように言った。



「キスとキスの合間に、『好き』って言いながらね」

「ひゃ、ひゃっかい?」

「うん。だって他の男とキスしちゃったんでしょ?そのくらいしないと、消毒できないじゃないか」



そ、んなの……だって、百回もしたら唇荒れちゃうよ……?



「…できない?」



その言葉に、慌てて首を左右に振った。



「で、できるっ…!」



許して、ほしいもん……っ。



「じゃあ、して」



先程の苦しさは何処へやら、ニヤリと口角をあげるがっ君に、眉の端を下げる。