【完】君は狂った王子様。Ⅱ




「媚薬なんて、飲まされちゃダメでしょ?……本当に、無防備なんだから……俺がどれだけ切歯扼腕したかわかって」

「がっ君……ごめんなさい……」

「キスなんかされて……本当に、殺してやりたいよ。……怖かったね」



ゆっくりと抱きしめ返してくれて、頭を撫でてくれるがっ君の優しさに、涙が止まらなくなる。



「お兄さんが日本にいる間、俺の家においで。あんな家に……帰らせてあげない」

「でも……」

「桜は何も心配しなくていいから。ご両親にも、俺から話すよ」

「……で、でも「もう黙って。良い子だから俺の言うこと聞いて、ね?」



なにも言わせない、とでも言うかのように、口を塞がれる。

唇を離し、わたしの額に自分の額をくっつけると、怒ったような、切なそうな……見ているだけで苦しくなる眼差しで、がっ君に見つめられる。



「俺がどれだけ桜に近づく男に嫉妬してるか……頼むからわかって」