【完】君は狂った王子様。Ⅱ




恐る恐る口を開いて、言葉を発した。



「ミルクティー、に……多分薬が、入ってて……身体が、熱くなって……お兄ちゃんが、ベッドまで運んでくれて……それで、苦しいのから、解放してあげるって……」

「………うん、それで?」

「……それ、で……身体を、触られ、て……」

「……キスされたの?」



言葉を飲み込んだわたしに、がっ君がそう聞いてきた。

目をきつく閉じたまま、首をゆっくりと縦に振る。



「わたし、ちゃんとやめてって、言ったよっ……?」

「うん、わかってるよ」

「怒ってる……?他の人とちゅーしちゃったから、わたしのこと嫌いになったっ……?」



がっ君、他の人と話すだけでも嫌がるのに、キス、なんて……。

汚いって、思われたらどうしようっ……。


お兄ちゃんへの恐怖よりも、がっ君に嫌われることの方が……何倍も恐ろしい気がした。



「怒っては……まあいるかな」



や、やっぱりっ……。



「ごめんなさぃっ……」



涙が溢れて、目の前のがっ君にしがみつくように抱きついた。