「ところで、ベッドに上げてくれ。
少し休む」
はい、と紬は王子を手のひらに載せると、そっとベッドに下ろしてやった。
「うむ。
ふかふかして気持ち良い」
満足げな王子に紬は、
いや、今はあなたがふかふかして気持ちいいですけどね、と思っていた。
「よし、紬よ。
今すぐ、あの首どもに身体を与えてやれ」
テントの外で、わー、急げーとなにを急いでいるのかわからないが、転がっている生首たちを見て王子が言った。
「いやー、私、明日、学校が……。
宿題もまだやってませんし」
とやる気もなかったくせに言うと、
「では、学校に行くまで、人形を作れ」
と命じてくる。
「死にます」
行き倒れて、学校で死にます、と思ったのだが。
首たちがゴロゴロ、テントの外を転がっては、
「将軍っ。
薪も運べませんっ」
「なにっ?」
と小枝を前にウロウロしているのを見ていたら、可哀想になってきた。



