俺は息をついてドアの方を見やった。
 やはり、忘れられそうになかった。



-----出来ることならもう一度、会いたい。



 どうやら、結婚には懲りても、まだ女には
懲りていないらしい自分に、自嘲の笑みが
浮かぶ。まだ彼女の感触が残る唇を舐めると、
微かに口紅の味がした。