それに比べ、僕は何もかもが、初めてだ。
正直、上手くできる自信がなかった。
仕舞いには、バツが悪くて目を逸らして
しまった僕の頬に、弓月の手が伸ばされる。
「わたしは、和臣さんに触れてもらえる
だけで、幸せだから。だから、あなたの思う
ままに、してくれればそれで……」
どこまでも優しい彼女の声に導かれて視線を
戻せば、弓月の眼差しが“愛おしい”と言って
くれている。
-----僕はもう、泣き出してしまいたかった。
ツンと痛む鼻先を気にしながら、頷く。
弓月が目を細め、僕の背に腕を回した。
彼女に引き寄せられた僕の体は、再び熱を
取り戻していて、熱かった。
「弓月、大好きだ」
擦れた声でそう言うと「わたしも」と、彼女
は静かに瞳を閉じた。
まだ、気怠い身体をベッドに預けていた僕は、
手を伸ばしてテーブルの上のリモコンを押した。
エアコンを消していた部屋は、二人の熱と湿気
を含んで重い。すーっ、と冷えた風が汗ばんだ
体を心地よく撫でながら通り過ぎ、僕は腕の中
に眠る弓月を眺めた。
艶のある長いまつ毛が、白い肌に影を落とし
て、ふっくらと、柔らかな唇は僅かに開いて白い
歯を覗かせている。
まるで、おとぎ話に出て来る、お姫様のようだ。
「飽きないな」
もう1時間も前からずっと、彼女の寝顔を見つ
めている。出来ることなら、このままずっと眺め
ていたかったが、不意に、弓月の瞼が痙攣した。
弓月がゆっくりと、目を開ける。
「おはよう。よく眠っていたね」
弓月がぼんやりと僕を見つめる。
まだ寝ぼけているのだろうか?
僕は笑って彼女の前髪を掻き上げた。
「ごめん。疲れさせちゃった?」
弓月が首を振る。
そして、照れたように笑った。
「いま……何時?」
「もうすぐ1時半だよ」
「もうそんな時間?大変。オムライス作ら
なきゃ」
「大丈夫だよ。そんなに急がなくても」
しぱしぱと瞬きをしながら、慌てて身体を
起こす弓月を、やんわりと引き留める。
お腹は空いているけど、もう少しこのまま
余韻に浸っていたかった。
正直、上手くできる自信がなかった。
仕舞いには、バツが悪くて目を逸らして
しまった僕の頬に、弓月の手が伸ばされる。
「わたしは、和臣さんに触れてもらえる
だけで、幸せだから。だから、あなたの思う
ままに、してくれればそれで……」
どこまでも優しい彼女の声に導かれて視線を
戻せば、弓月の眼差しが“愛おしい”と言って
くれている。
-----僕はもう、泣き出してしまいたかった。
ツンと痛む鼻先を気にしながら、頷く。
弓月が目を細め、僕の背に腕を回した。
彼女に引き寄せられた僕の体は、再び熱を
取り戻していて、熱かった。
「弓月、大好きだ」
擦れた声でそう言うと「わたしも」と、彼女
は静かに瞳を閉じた。
まだ、気怠い身体をベッドに預けていた僕は、
手を伸ばしてテーブルの上のリモコンを押した。
エアコンを消していた部屋は、二人の熱と湿気
を含んで重い。すーっ、と冷えた風が汗ばんだ
体を心地よく撫でながら通り過ぎ、僕は腕の中
に眠る弓月を眺めた。
艶のある長いまつ毛が、白い肌に影を落とし
て、ふっくらと、柔らかな唇は僅かに開いて白い
歯を覗かせている。
まるで、おとぎ話に出て来る、お姫様のようだ。
「飽きないな」
もう1時間も前からずっと、彼女の寝顔を見つ
めている。出来ることなら、このままずっと眺め
ていたかったが、不意に、弓月の瞼が痙攣した。
弓月がゆっくりと、目を開ける。
「おはよう。よく眠っていたね」
弓月がぼんやりと僕を見つめる。
まだ寝ぼけているのだろうか?
僕は笑って彼女の前髪を掻き上げた。
「ごめん。疲れさせちゃった?」
弓月が首を振る。
そして、照れたように笑った。
「いま……何時?」
「もうすぐ1時半だよ」
「もうそんな時間?大変。オムライス作ら
なきゃ」
「大丈夫だよ。そんなに急がなくても」
しぱしぱと瞬きをしながら、慌てて身体を
起こす弓月を、やんわりと引き留める。
お腹は空いているけど、もう少しこのまま
余韻に浸っていたかった。



