Diary ~あなたに会いたい~

 弓月のものに比べると文章は短く、綴られ
た文字は少々癖のある印象を受ける。
 けれど、細く繊細な字のその人は、弓月を
温かく見守ってくれているようだった。

 「あの、この日記から何がわかるんでしょう
か?暗号のような数字以外は、普通の交換日記
のように見えますが……」

 僕は小林医師に訊ねた。
 早く答えが知りたい。
 それは隣にいる永倉恭介も同じはずだ。

 そう思ってちら、と彼の顔を覗いた僕は眉を
顰めた。永倉恭介はきつく唇を結んで、じっと
日記を睨みつけていた。
 そうして浅く息を吐き出すと、鞄から何かを
取り出した。カサと音をさせて取り出された
それは、文房具の紙袋のようだ。

 「日記にある3ケタの数字は、これだろう」

 彼は袋から数本の色鉛筆を取り出し、僕に
見せた。

 見れば、真新しい色鉛筆の端に3ケタの数字
が並んでいる。日記に記してあるものと同類の
ものだ。

 「色鉛筆の品番か。じゃあ、この日記の内容
は、彼女、ゆづるさんに頼まれて弓月が色鉛筆を
買っていた、ということになりますね」

 弓月が画を描いているという話を、僕は聞いた
ことがない。なぜ、ゆづるという女性がそんなこ
とを弓月に頼んでいたのか理由はわからないが、
二人の親しい間柄はやり取りから伝わってきた。

 「残念ながら、それは少し違います。正確に
は、弓月さんが“自分に色鉛筆を依頼して、自分
で色鉛筆を買っていた”という事になります」

 「あの、それは、いったいどういう……」

 僕は小林医師が何を言おうとしているのかわか
らず、首を傾げた。

 小林医師が大きく息をつく。