メリルの想い人、ダビデはつい先日、結婚した。
 ダビデは平民で、メリルは子爵家の令嬢だ。 身分差があり、到底釣り合わない。

 しかもダビデはメリルの気持ちを知らず、メリルも打ち明けた事はなかった。
 もしも打ち明けたとしても、うまくいくような関係にはなれなかっただろう。

 そもそも俺とメリルは婚約者同士の間柄。
 そして誰もがその事実を知っている。
 二人の関係を壊すような、割って入るよう な真似をする勇気ある者はいないだろう。

 それが平民なら尚更だ。
 悲しい現実と身分の壁がメリルに立ちはだかっていたのだ。