「でもね、カークス様はもっと立派な方よ。 生い立ちや境遇そんなものではなくて、なさっている仕事も領地の方々に対する態度も素晴らしいわ。 私もカークス様に似合う夫人になりたい、そう思ってるの」

「メリル様は立派な方です。 どれだけ努力なされてきたか、私達使用人はよく存じております」

「ありがとう。 私ね、カークス様に幸せになって頂きたいの。 その役目が私でありたいとも思ってる」

「私共も皆、メリル様にもカークス様にも共に幸せになって頂きたいと思っております」

 ティーカップの温かいお茶が喉をスーッと癒してくれる。
 少し、喋り過ぎたのかもしれない。

「私ね、カークス様のお側にいたいの。 愛されてなくてもいいから……」

「メリル様……」

「ジョージもわかっているのでしょう? カークス様がどなたを想っているのか」

「申し訳ありません」

「いいのよ。 きっと愛される事がないのは私が一番わかるもの」