七歳でカークス様の婚約者となった私はその頃から伯爵邸で暮らしている。
 カークス様の良き伴侶となる為、そして立派な伯爵夫人となる為に日々は修業で明け暮れた。

 寄宿学校もその一貫。
 本来なら家庭教師との勉学だけでも構わない。 花嫁修業なら花嫁学校があるのだから。
 それでも私はカークス様を追って寄宿学校へ進む道を選んだ。
 十三歳の時だ。
 その方が多岐に渡って学べるし、何よりカークス様とわずかでも一緒の時間を過ごしたかったからだ。

 カークス様は初めてお会いした時から優しくて、四方に配慮の出来る優れた方。
 貴族と使用人という立場の違いはあっても、人格を認めて接する事が出来る。
 決して貴族の立場だけで人を見たりしないのだ。

 だからこそジョージも他の使用人達も主である彼を尊敬しているのだろう。

 そして、私もその一人。

 カークス様と同じ時間を過ごすのが楽しかった。
 まだ子供の頃は婚約者という意識はなく、仲の良い友達か或いは兄妹のような関係で。