季節の移ろいはあっという間。
 秋が寒い冬に変わり、指折り数えていれば春はもうすぐ目の前なのだから。

 それでもまだ私には暖炉の暖かさが必要だ。
 椅子に座る私の膝上には優しい柄のブランケット。 身体を冷やさないようにと皆が気遣ってくれる。

 大きくなりつつあるお腹はきっと夏が来る前には私に幸せを持たらすだろう。
 それが例え、偽りだったとしても私にとっては得難いのだから。

 ジョルジュの話ではカークス様がメリル様と正式婚約したという。
 しかも伯父である国王陛下の祝福も受けたのだとか。

 なんという差だろうか。

「未練がましいわね、私も……」

 つい、こぼれてしまう本音。
 だが、後悔してはいない。 ジョルジュと結婚した事。