「やっぱりボクも一緒に行く!」

「大丈夫か?」

「うんっ!
ツバサと一緒なら何だか怖くない気がする!」

大きく頷いてガッツポーズのように拳をグッと握ると、ツバサは微笑って「じゃあ、行くか」ってランタンを片手に洞窟に足を踏み入れた。
ボクも遅れないように後に続く。頼もしい背中を見つめながら歩いてるいると……。

「ーー俺は、人間の方が怖いな」

「!……え?」

「何でもない。行こう!」

……。
俺は、人間の方が怖いなーー?

ツバサは前を向いていたし、ボソッと呟くような声だったけど、ボクには確かにそう聞こえた。

虐められた事があるの?
誰かに辛い目に遭わされたの?
誰かに、傷付けられたの?

そう聞いてみようと思ったけど、どれも違う気がして……。この時ボクは、何も聞けなかった。

その言葉の本当の意味を、ボクは徐々に知っていく事になるんだ。