きっとファンの子たちが大喜びするような、冷た~い目をしてるんだろうな。

それでいて、実際はきっと身動きが取れなくてただ困ってるだけ。


というか、由梨の姿が見当たらないと思ったら、ちゃっかりあの輪の中に入っていっているし。



『2年2組の選手、早く待機場所で準備をお願いします』



とうとう放送席からの催促が来てしまった。

どうにかして取り巻きから脱した遠坂くんは、既に疲れているようにも見える。


一年男子が走り終わり、続いて二年生の番だ。



「位置について!よーい……」



スターターピストルの大きな音が響いて、一斉にスタートする。



「きゃああ!遠坂くーーーん!ファイトー!」



スターターピストルと同じぐらいの騒がしさで、ファンクラブの皆さんが一斉に応援を始める。