隣の不器用王子のご飯係はじめました




聞き覚えがある声。うちの高校の教師たちだ。


先生たちの声はしばらく聞こえていたけど、やがて引き返していったようで聞こえなくなった。


遠坂くんはふうっと息をついた。



「ごめん。多分この階に来るところ見られてたの、俺だ」

「そ、そっか。でもありがとう。見つかってたら絶対怒られてたね」



そう言って顔を上げると、息がかかりそうなぐらい近くに遠坂くんの顔があった。

目が合うと何となく照れくさくて、お互いちょっと逸らす。


だけど──



「……小野山さん、もうちょっとこのままでいてもいい?」

「……うん」



照れくさいのと同時に、まだしばらくこうやって密着した状態のままでいたいとも思った。

遠坂くんも同じ思いでいてくれたのが嬉しい。