隣の不器用王子のご飯係はじめました





わざわざ7階まで来て自動販売機を見つけたのは良いものの……。

そこに売っていたペットボトルのさんぴん茶は、別に限定デザインでも何でもなく、他の階の自販機で売っていたものと同じだ。


由梨は何か勘違いしてたのかな。多分ネットで調べたんだろうけど、情報が古かったのかも。


それでも、私はわざわざリスクを冒してまで7階に来たので、この自販機で二本分の飲み物を買っていくことにした。


財布から小銭を取り出し、自販機に入れる。

……と、百円玉が一枚落ちて、そのままコロコロと転がっていった。



「あ、待って」



慌てて転がる百円玉を追いかける。

しばらく転がっていった末、百円玉は向こうから歩いてきた人の足に当たって止まった。

その人がそっと拾い上げてくれる。



「すみません。転がってっちゃって」

「……小野山さん?こんなところで何してるの?」