「全っ然熱がこもってないのよ!……じゃあ在花、うちのクラスの杉野はどう思う?かっこいい?」

「杉野くん?」



由梨に言われて、私は教室の真ん中で集まってしゃべっている男子たちの一人に目を向ける。



「うん。かっこいいと思うよ?」

「……で、遠坂くんは?」

「かっこいいと思う」

「ほら、遠坂くんと杉野を同じテンションの『かっこいい』で語ってるでしょ!遠坂くんは国宝級のイケメンよ!?うちの高校が誇る王子よ!?あんなサッカー小僧と一緒に扱うのなんて在花ぐらいだから!」

「え、えっと、ごめんね……?」



私は由梨の勢いに押されて思わず謝ってしまった。

だけど、「うちの高校が誇る王子」たる遠坂くんに対して、由梨ほど興味を持てないことも事実なわけで。



だって顔が良い人って少し気後れしてしまう。何だか怖そうというか……。