隣の不器用王子のご飯係はじめました





私はそんなこと言いながら、小さなテーブルを部屋の隅にどけて、下に敷いていた大きめのラグをちゃんとのばす。

少し固いけど、この上なら眠れないことはない。



「枕にはこのクッション使って!あとは毛布が……あったあった」



あっという間に二人分の寝床完成。寝心地も思ったより悪くなさそう。

今までこの部屋に誰かを泊めたことはなかったけど、今度由梨を呼んでお泊まり会してみようかな。



「さあ寝よっか。あ、豆球は付けたままで大丈夫?」

「うん」

「おやすみなさい」


……

……。


……うん、眠れない。眠れるわけないよね。





遠坂くんも眠れてないな、というのは何となく気配でわかる。

話しかけたら、眠たくなるまで話し相手になってくれるかな……。

そう思っていたら、遠坂くんがぽつりと呟いた。



「在花……」

「はいっ!」