先ほどまで騒いでいた由梨も、さすがに今は黙って不安げに目を泳がせている。
でも、きっと私の方がそれよりさらに不安そうな顔をしてるんじゃないだろうかと思う。
「あの、ごめん。私全然知らなくて……」
そう言った私に、杉野くんは安心させるように笑った。
「答えは今すぐじゃなくて良いから、ちょっと考えてもらえたら嬉しい。……って悪い。完全に話逸れてたよな。つーかオレ、何で藤田もいる前で公開告白してるんだろうな」
「っ──本っ当にね!!」
由梨が、長らく止めていた息を吐き出すように言った。
「あんた完全にわたしの存在忘れてたでしょ⁉全く……」
ギャーギャー騒ぐ由梨に、それをあしらう杉野くん。
二人のやり取りですっかりいつもの雰囲気に戻る。
今さっきの告白は、何かの間違いだったのではないかと思えるぐらいだ。



