「わかった。やっぱりこういうまどろっこしいやり方はやめる」



まっすぐ顔を上げて私を見た杉野くんは、どこか緊張した様子で、頬も少しだけ赤かった。




「オレさ、在花ちゃんのこと、好きだよ」

「……え?」



い、いきなり何の冗談?

笑えば良いのかな、と思ったけど、杉野くんの声はあくまで真剣なものだった。



「今年同じクラスになったときから、ちょっと可愛いなって思ってたし、体育祭の時期に実行委員ですごく真剣に仕事してるの見て、気が付いたら好きになってた」



私はごくりと唾を飲んだ。


えっと……。

男子に告白されたのなんて初めてだから、どう反応すればいいのかがわからない。

ただ、体温がしだいに上昇していくのだけはわかる。



「だから、在花ちゃんを守るためなんて大義名分の下なら、在花ちゃんが遠坂のこと好きでも、偽物の恋人ぐらいはやらせてくれるんじゃないかな……って思ったんだけど、やっぱそれはちょっとずるいよな」