杉野くんはいつもの爽やかな笑みを引っ込めて、真剣な目で私を見た。
「オレと付き合ってるってことにする」
「え?」
「遠坂とのことで何か疑われたら、『自分は杉野簾と付き合ってるからそれは誤解だ』って言えば簡単に解決だろ?花火大会のことだって、たまたま二人になった瞬間を見られただけで、本当はオレもいたんだってことにしたら?」
えっと、つまり……杉野くんと恋人のフリをするってこと?
……いやいやいやいや
「あの、私のこと心配してくれるのは嬉しいけど、杉野くんにそんな迷惑かけるようなことできないよ!」
「そうよ!てかあんた頭良いんだからちゃんと考えてみなさいよ!彼氏がいながら他の男との仲を疑われるようなことをする女の方が、ずうーーっと心象悪いに決まってるじゃない⁉」
由梨もそう言って私に同調してくれた。
すると杉野くんは、何かを考えるように腕を組み、やがて深く息を吐いた。



