「親から継がせる気はないって言われてて。大学行ってやりたいこと見つけなさいって。まあ、今のところやりたいこととか全然わかんないんだけど」
「そっか。じゃあ農業には興味ないんだ」
「いや、まあ興味がないわけじゃないんだけど……。そういう遠坂くんはどこの大学目指すとか、将来のこと決めてるの?」
「俺も正直何がしたいかはよくわからない。進路希望調査は毎回だいぶ悩まされる」
「あはは、わかる……。仲間」
高二の夏ともなれば、そろそろ具体的な進路を考え始めなければいけない。だけどそんなもの、考えろと言われてすぐに答えが出るのもでもない。
私と遠坂くんが暗い表情になったのを見て、レナさんが私たちの背中を強くたたいた。
「もう!楽しい夏休みに入るっていうのに嫌な話は禁止ー!大丈夫だよぉ、大学なんて入れるところ入っときゃどうにかなる!あたしですらどうにかなってるんだもん!!」



