「あ、あきらめないもん」
「悪いけど帰って。
俺がしつこくされるの嫌いだって、菓知ってるよね?」
「こーちゃん……」
「菓が俺に何を夢見てんのか知らないけど。
俺は菓と付き合う気なんて一切ない」
ばっさり。切り捨てた胡粋に、ついに彼女がじわりと涙を浮かべる。
一瞬にしてあふれたそれは、ぽたぽたと頰を伝った。それを冷めた目で見ていた胡粋。
「こーちゃんが菓と付き合ってくれないならっ、
こーちゃんに無理やり襲われたことママとパパに言う!」
──が。
彼女のその言葉に、顔色を変えた。
「なに言ってんの、菓」
「こーちゃんのママとパパにも言って、ぜったい責任取ってもらう!」
「菓」
ため息をつきたいのか舌打ちしたいのかわからない、曖昧な表情で。
胡粋は立ち上がって彼女に近づくと、言葉とは裏腹に抱きついてくる女の頭を優しく撫でた。
「ごめん言いすぎた。泣き止んで、菓」
こぼれる涙を拭ってやって。
慈しむみたいになだめた胡粋に絆されて、彼女は素直に泣き止んだ。それから抱きついて離れない彼女に、「ゆっくり話そう」って話しかける。
その、彼女が見えない一瞬の隙に。
顔を歪めた胡粋を見て、コイツ何やったんだよと思わず呆れた。



