その来客は、昼頃に来るらしい。
翌朝彼女が母親の元に面会に行った後、それぞれが稽古の用事でばらばらになったが、昼飯の時間は全員重なっていた。
だから当然のように、いつもと変わらず全員で過ごしていた時のこと。
面会を終えて帰ってきた彼女が部屋に入ってきたかと思えば、その後ろには──ふたつほど歳が下であろう女がいた。
「お嬢、どしたのその子〜」
「言ったでしょう? 胡粋に来客だって」
来客って、歳下の女だったのか。
何を言われたわけでもないが、勝手に仕事上の相手だと思い込んでいたから、拍子抜けする。
「俺に来客って……菓だったの」
視線の中心にいる胡粋は、ぐっと眉間を寄せた。
どう見たって、歓迎してるわけではない。むしろ嫌がってる。
「っていうか、なんでわざわざ来たわけ?」
いつもの胡粋とは違う、冷たい物言い。
突き放すようなそれに傷つくかと思いきや、彼女の方は慣れてるみたいにそれを交わして、「こーちゃん」と口を開いた。
「約束、したじゃない。
こーちゃんの入学予定だった中高一貫校に菓が合格したら、付き合ってくれるって……」
……恋愛がらみのことかよ。
真面目な話かと思ったのに、コイツもめんどくせーネタ持ってやがったのか。
「なのにこーちゃん、約束の高校受けるどころか、勝手に関東に出てきて……
菓、こーちゃんから何も聞いてない」
「言ってないからね。
そもそも俺はあの一貫校受ける気なんてなかったし。俺がこっちに来たら、お前が俺のこと諦めるかなって思っただけだよ」
お前、なんて。
レイには絶対言わないくせにな。



