「…自分の心に蓋をして、無理に笑顔で部員を鼓舞する。そんなの、到底できることじゃない。彩絢さんはすごいですね…」


「そんなたいそれたことじゃないよ…」


蒼空を甲子園に連れていきたい。


それだけが、今にも力尽きてしまいそうな私を突き動かしている。


蒼空を信じてるはずなのに、やっぱり怖くて、心が休まらなくて。


安堵が欲しい。


蒼空の元気な姿が見たい。


蒼空の笑顔が見たい。


「とにかく、今日は休んでください。彩絢さんに無理はさせられないです」


「でも…」


初戦までもう1週間を切っている。


マネージャーが休むわけにはいかない。


「無理してる彩絢さんを見るのがつらいです」


「無理するしかないでしょ…?勇翔だってずっと無理して頑張ってる。蒼空だって…。ずっとずっと無理してた…。だから私も頑張らなきゃ」