俺がお前を夢の舞台へ

とたんにトゲを持った口調に切り替わる。


「ごめん…っ」


『いや、別に謝れって話じゃねーから。彩絢はどこにいんの?』


電話の向こうがドタバタと騒がしい。


「アパートの前…っ。どこ探してもいなくて…っ」


『俺もすぐ合流するからそこで待ってろ』


「うん……」


慌ただしく電話が切られ、無の時間が流れる。


どこを探せばいいのか検討もつかなくて、私にはどうすることもできなかった。


ちゃんと鍵をかけて出ていれば。


もっと早く気づいていれば。


考え事なんてしていなければ。


ありとあらゆるタラレバが浮かんでは消えてを繰り返す。


どんな顔して勇翔に会えばいい…?


もし友翔くんに何かあったら…?


想像しただけで怖くて足がすくむ。