急にガタ、と音を立てて机一つ分あった距離を一気に詰めてくる先輩。



ドキッとして思わず五月先輩のいる方を見る。






その瞬間、


わたしの唇に当たったのは、彼の唇だった。





「強行突破」


と清涼な笑みを浮かべて言う五月先輩。




「…うそ、だ」



出会って数分、わかったこと


多分この人普通じゃない。



顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。



引っぱたいたっていいのに、そんなことも出来ないくらい私は動揺している。


本音を言うと、こんな綺麗な顔にそんなことしたくない。私は面食いなのだ。




「真っ赤。かわいい」



私の頬に触れた手は少し冷たかった。



また五月先輩の顔が近づく。




「ん…」




どれくらい時間が経ったのか、苦しくなってきて我に返った私は、胸を押して先輩と物理的に距離をとる。



「有り得ない、バカヤロウ、サド」



「羽結に言われると嬉しい」



異常だ。