この人、女嫌いなのかな……?
いや、すごく嫌がってるってわけじゃないから違うのかな……?
でも、泊めてもらえるんなら、私がちゃんと自己紹介しないと。
さっきもしてなかったし。
「あ、あの。私、桜川心優っていいます。私、もう居場所がなくて。でも、迷惑をかけるつもりはありません。だから、ここに置いてください。何でもしますから。よろしくお願いします」
隠れていたけど、ちゃんと前に出て頭を下げた。
「それはしょうがないし、いいけど……顔上げて」
いいと言ってもらえて、ホッとする。
言われた通り顔を上げると、何故か驚いた顔をされた。
じっとこっちの方を観察される。
な、何か私の顔についてるのかな……?
「……月影のangel?」
出てきた言葉は、私の通り名で……
私はびっくりしてしまった。
この姿になってから、気づかれたことはなかったのに……
「な、何で私が月影のangelって思うんですか?」
誤魔化さないとって思った。
だって、月影のangelは優雅の敵の姫だったから。
敵の姫だと思えば、皆警戒してしまうかもしれない。
「直感だけど……でも、君は月影のangelに似てる」
誤魔化すことはできる。
でも、もう諦めた。



