私はそれか顔に出てしまうんだから、流羽さん達がいる前で思い出しちゃダメ。
気を遣わせちゃいけない。
「それって……」
菜摘さんはそこで口を噤んだ。
私が黒龍の姫だったことは知ってるみたいだから、裏切りを受けて追い出されたことも知ってる気がする。
私に気を遣ったのかな……?
だったら、意味ないね。
「もう戻りましょう。昼休みももう少しで終わりますし」
そう言ったところで、ちょうど予鈴が鳴った。
助かった……
「そうだね」
「菜摘、行くぞ」
「うん!じゃあ、また後でねー!」
「心優ちゃん、倉庫で会おうね!」
流羽さんと私だけが残された。
「心優、約束忘れないように」
「は、はい。分かりました」
頷くと、流羽さんは満足そうに笑った。
「心優、また放課後に」
「は、い」
去り際に私の頭を撫でて、流羽さんは去っていった。



