お世辞でもそんなこと言ってくれるなんて……
「てか、優也。よくスルー出来るよね!」
「……何の話?」
またもマイペースに読書していた優也さんだけど、自分の話題が上がったのが分かったのか、顔を上げた。
「もう、マイペースすぎるよ!優也!」
「まぁ、それが優也だしね」
あはは、自由だなぁ……
優也さんはもう本を読み始めてるし。
でも、いい雰囲気。
昔は黒龍もこんな雰囲気だったんだけどね……
「心優……?」
「えっ、あっ……」
声をかけられて我に返ると、心配そうな顔をした流羽さん達の姿があった。
本を読んでいた優也さんまでこっちを見てる。
「辛そうな顔してるけど、大丈夫?」
「あ、大丈夫です!ちょっと昔のことを思い出してて……」
無駄に心配かけないために、慌てて首を振った。
何で、今黒龍のことを思い出すかな……
もう絶対昔には戻れない。
思い出しても辛くなるだけ。



