「る、流羽さん」
その様子を見て、遠慮がちに話しかけてみると……
「何、心優」
さっきと打って変わって優しい顔。
あんなに不機嫌そうだったのに……
驚きながらも、少しホッとした。
それに、少し胸の奥が温かくなったような気がした。
「あ、えと。ありがとうございました。助けてくださって」
先ほど言えなかったお礼を言うと、フッと流羽さんは小さく笑った。
「心優は律儀だな。わざわさ礼なんかいらないのに」
その小さな笑みでさえ、やっぱりドキドキしてしまう。
本当にどうしてだろう……?
「心優はこの学校の仕組みとか分からないよな?」
「は、はい。全く」
「じゃあ、俺と一緒に行こう。ちゃんと場所は把握してるから」
「あ、はい」
流羽さんの優しい笑みに見惚れながら、しっかりと頷いた。
流羽さんの隣を歩いていると、ものすごい量の視線を感じた。
こんなにかっこいい人の隣を歩いているんだから当たり前かもしれないけど……
やっぱり萎縮してしまう。
隣にいるのがこんなのでごめんなさい……
心の中で謝りながら、隣を歩かせてもらった。



