【心優side】


私、桜川心優(さくらかわみゆ)はあてもなくぶらぶらと治安のよくない街をさまよってる。


「うわ、あの子超美人」


「まさに絶世の美女だよな」


すると、そんな声が聞こえてきた。


絶世の美女って、そんな人がどこにいるんだろう……?


ちょっと見てみたい気もするけど、私はそのまま歩いた。


私には関係ないし、私のことじゃないはずだから。


「ねぇ、お嬢ちゃん。こんなところに1人?」


「俺達と楽しい遊びしない?」


知らない男の人……


多分どこにも所属してない。


な、何で私なんかに声をかけてきたんだろう……?


不思議に思ったけど、怖いという気持ちは全くない。


この人達は私のことを知らないのかな……?


そう思いつつ、戦闘態勢に入る。


喧嘩の時は……私、人が変わるらしいから。


かけていた眼鏡を外し、足を思い切り振り上げた。


そして、この人達の顔にヒットする。


「痛ってえ!何すんだ!」


「女だからって手加減しねえぞ!」


ギロって睨まれてるけど、今は怖くない。


私はウイッグと黒のコンタクトを取った。


すると、目の前の男の人達の顔が真っ青になる。


「お、お前、まさか……」


「月影のangelなのか!?」


あー、そういえば……私、そんな通り名つけられてた。


でも、私全然天使じゃないのに。


そんな綺麗な容姿もしてないし……


「はい、そう呼ばれてましたね。だから、早くどこかへ行ってくれますか?」