だけど、先週の土曜。
会いたい、と言ってしまった。

なるべく頑張る、と影君は言っていた。


その過去は、なくならない。



 森田君は、どこまで知っているんだろう。


あの日の全ての記憶を共有していたとしたら、森田君も全て知っているということになるのだろう。

それでも、叶うなら、影君に自分が会いたいと言ったことを森田君は知らないでいてほしかった。



後々、考えれば、あの時の私の心はきっと丸裸に近かったから。


教室でいちばん大きな円の真ん中で笑う美しい男の子には、そんなのはきっと情けないだけのものに違いない。

影君だけが、知っていてくれたらと思うのだ。